| 性別 | 男性 |
|---|---|
| 転職時の年齢 | 29歳 |
| 最終学歴 | 大学卒業 |
| 転職前の勤続年数 | 5〜10年 |
| 転職経路 | 転職エージェント |
| 利用した転職サービス | doda、レイノス |
| 応募社数 | 4〜6社 |
| 転職活動の期間 | 1〜3か月 |
| 転職した年 | 2019年 |
| 総合満足度 | ★★★★★ 3(普通) |
| 転職前 | 転職後 | |
|---|---|---|
| 業種 | 転職前コンサルティング・専門事務所(監査法人・税理士法人含む) | 転職後メーカー(機械・電気) |
| 職種 | 転職前コンサルタント・金融・不動産専門職・士業 | 転職後管理・事務・スーパーバイザー |
| 年収 | 転職前400〜500万円 | 転職後400〜500万円 |
| 雇用形態 | 転職前正社員 | 転職後正社員 |
※本記事は個人の感想・実体験に基づくものです
やりがいはあるが残業が多い税理士法人
新卒で入社した税理士法人で、私は監査担当として複数のお客さま(顧問先企業)を担当していました。日々の仕訳チェックから月次決算のフォロー、決算書の作成、確定申告の補助作業まで、幅広く会計サポートに携わる仕事です。
業務内容自体にはやりがいを感じていたものの、最大の悩みは経常的な残業の多さでした。繁忙期である確定申告の時期はもちろん、通常期であっても毎月のように多くの残業が発生していたのです。
顧問先の都合や決算スケジュールに追われ、深夜までオフィスに残る日が続くこともしばしばありました。体力的に強い限界を感じ、「このままの働き方をあと5年、10年と続けていくのは身体が持たない」と痛感したことが、転職を強く決意したきっかけです。
dodaとレイノスで経理へ転職活動
体力の限界を感じた私は、2019年5月に転職エージェントへ登録し、本格的な活動を開始しました。利用したサービスは主にdodaとレイノスの2社です。税理士法人から一般企業(事業会社)の社内経理を目指す形で動き出しました。
当時の私は、「税理士法人で数多くの企業の会計実務や監査を経験してきたのだから、事業会社の経理へ転職する際にもかなり有利に働くだろう」と高をくくっていました。多種多様な業界の決算処理を見てきたという自負があったからです。
しかし実際の選考や面接を通して、企業の規模によって求められる役割や評価軸が大きく異なるという、予想外のギャップにぶつかることになりました。今回の転職活動では、合計4社(上場企業子会社3社、中堅中小企業1社)に応募しました。
中堅中小企業が求めるオールラウンダー
まず、中堅中小企業(1社応募・1社内定)の面接では、税理士法人での経験がストレートに高く評価されました。中小企業が経理担当に求めていたのは、幅広い業務に対応できるオールラウンダーの存在だったからです。
「税理士法人で幅広い会計業務をこなしてきたなら、経理全般はもちろん、あわせて総務や社内労務などのバックオフィス業務全般もマルチに引き受けてほしい」という強い要望と期待を感じました。
上場企業子会社が求めるスペシャリスト
一方で、上場企業子会社(3社応募・2社内定)の面接では、まったく異なる反応が返ってきました。上場企業グループのような組織規模の大きい会社では、オールラウンダーではなく、決算や原価計算などの特定分野に特化したスペシャリストが求められていたのです。
事業会社では、自社の業務フローに沿って毎月・毎期の決算を正確に回してきた実務経験や、特定システムの運用実績が重視されることが多いと感じました。外部から広く浅く会計チェックをしてきた経験だけでは、即戦力としてのアピールになりきらない場面もありました。
事業会社の規模によって、ジェネラリストを求めるのか、特定分野のスペシャリストを求めるのかがこれほど明確に分かれていることは、実際に面接を受けて初めて実感した大きな学びでした。
4社応募・3社内定までのスケジュール
最終的に2019年5月から7月までの約2ヶ月間で4社に応募・面接を受け、3社(上場企業子会社2社、中堅中小企業1社)から内定をいただくことができました。選考の展開はスピーディーで、引き継ぎ期間を経て2019年9月に新しい職場へと転職しました。
具体的なスケジュールとしては、5月に応募と書類選考、6月に面接、7月初旬に内定通知という流れでした。

残業ゼロで実質年収アップを実感
転職後の年収や待遇の変化については、非常に満足のいく結果となりました。まず前職の税理士法人・監査担当時代は、経常的な長い残業時間(月数十時間、繁忙期はさらに増加)があり、年収は残業代を含めて確保している状態でした。
これに対して転職先の事業会社・経理では、残業がほぼ発生せず、発生しても月内で調整することがルールです。額面上の総年収自体は、前職とほぼ同水準でした。
提示された年収の額面だけで比較すると、前職の税理士法人時代と大きな変化はありませんでした。しかし大きな違いはその中身です。前職の年収は膨大な残業代が乗った上での金額でしたが、転職先から提示された年収は、残業がほぼゼロの状態での基本給ベースの金額でした。
同じ年収を定時で帰れる環境で得られるようになったため、時給換算で考えると実質的な年収は大きく上がったと断言できます。体力的な負担は劇的に減り、終業後のプライベートな時間や睡眠時間をしっかり確保できるようになりました。ワークライフバランスという面では、当初の目的を100%達成できたと感じています。
昇給と残業月0を決め手に自動車部品メーカーへ
最終的に内定をいただいた会社の中から選択し、現在は自動車部品を製造・販売する上場企業のグループ子会社で経理担当として勤務しています。
この会社を選んだ決め手は、上場企業のグループ子会社のため賃金テーブルに沿って昇給があること、そして基本的に残業を月0にしなければいけないという決まりがあったことです。経理職のため月初は月次決算締めで残業が発生しますが、早退するなどして月末までに残業時間を0にするよう調整することが社内ルールとなっています。
そのような理想的な労働環境に大きな魅力を感じ、入社を決意しました。
伝票起票から原価計算まで担う経理業務
具体的な仕事内容は、日常的な伝票起票や売掛金・買掛金の管理、月次決算・年次決算手続き(親会社への提出データ作成)などです。あわせて、工場や営業拠点から上がってくる経費や原価データの集計・チェック、税務申告データの準備と親会社経理部との連携も担当しています。
税理士法人時代は多数の顧客を外部から広くサポートするスタイルでしたが、現在は自社というひとつの組織の数字を内部から深く掘り下げて管理するスタイルへと180度変わりました。製造業ならではの原価計算の考え方や、上場企業グループとしての厳密な決算ルールなど、新しく学ぶことも多くありました。
ポータブルスキル低下という後悔
今回の転職を経て、残業時間は劇的に減り、労働環境や生活の質は大幅に改善しました。しかし正直にお話しすると、私はこの転職について少し後悔している部分もあります。それは、ポータブルスキル(どこでも通用する汎用的な能力)の向上という点においてです。
現在働いているような大手企業や上場企業子会社では、業務が非常に細かくマニュアル化されており、自社独自のシステムや社内ルールに合わせた仕事が求められます。日々こなしている業務はその会社の中でしか使えないスキルになりがちです。社会全体から見たときに、自分自身のビジネスパーソンとしての価値や専門スキルが向上しているという実感を、持てなくなってしまったのです。
一方で、以前いた税理士法人の仕事を振り返ると、当時は体力的に厳しい環境ではあったものの、同業種であれば将来どこの税理士法人や会計事務所に行っても即戦力としてやっていける、確かな実務能力が着実に身についていたと感じます。自分の力で食っていける技術を磨いていたという手応えは、前職の方が圧倒的にありました。
転職前に描くべきキャリアの将来像
この実体験から、これから転職を考えている皆さんに強く伝えたいことがあります。転職活動を始める際には、目の前の給与や残業時間の少なさといった労働環境の改善だけにとらわれないでください。
自分は将来的にどんなスキルを身につけたいのか、最終的にどのようなビジネスパーソンになりたいのかという将来像を、しっかりと思い描いてから決断することが何より大切です。
快適な環境を得る代わりにスキルの成長スピードが落ちるかもしれない、過酷な環境だが市場価値の高い汎用スキルが身につく、といったトレードオフを事前に理解した上で選択していれば、転職後のモヤモヤや後悔を防ぐことができます。
今の状況から抜け出したいという感情だけでなく、現在の職種や会社を選んだ理由やきっかけを自分の中で棚卸しすることで、本当に自分が仕事に求めていることをもう一度見つめ直してください。労働環境の改善と自分のキャリアゴールのバランスを冷静に見極め、納得のいく転職活動をしていただくことを心から応援しています。


求人票では見抜きにくい会社規模ごとの違い
この体験談は、税理士法人の監査担当から自動車部品メーカーの上場グループ子会社の経理へ移った、20代後半の男性のお話です。ご本人は面接を受けて初めて、会社の規模で評価のされ方が違うと気づきました。実は、この違いは求人票を読むだけでは分かりにくいものです。
経理の求人票は必須要件が幅広く書かれることが多く、規模によって求める人物像が違う点までは読み取れないことがよくあります。担当範囲がはっきり決まっていない会社ほど、書き方も抽象的になりがちだからです。だからこそ、応募や面接の場で自分から確認するようにしましょう。
おすすめは、面接や面談で担当範囲を具体的に聞くことです。連結決算や原価計算など特定の分野を深く担当するのか、それとも総務や労務も含めて幅広く任されるのか。ここを質問すると、分業型か全般型かが見えてきます。自分の経験が活きる会社かどうかを早めに確かめられれば、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
会計事務所出身が事業会社で専門性を保つコツ
働き方が楽になったからといって、経理の専門性がすぐ下がるわけではありません。ただ、自社だけの手順に慣れていくと、転職市場で評価されにくくなる場面は出てきます。決算をこなせることは経理の土台です。その上で、数字を使って会社に何を提案できるかを求める会社が増えています。
そこで役立つのが、決算作業に少しプラスするひと工夫です。予算と実績の差を分析して原因を説明した経験は、面接で評価されることが増えています。決算を早めるために他部署へ働きかけた経験も有効です。
製造業で身につく原価計算の知識も、経理の求人で広く求められます。資格で裏づけるなら、経理の求人で必須や歓迎に挙がりやすいのは日商簿記の2級以上です。こうした経験や知識の積み重ねが、次の転職での武器になります。
まとめ
今回は、税理士法人から上場グループ子会社の経理へ転職した29歳男性の体験談でした。同じ経理でも、中小はオールラウンダー、上場グループはスペシャリストと評価が分かれます。
求人票だけでは規模ごとの違いを読み取りにくいので、面接で担当範囲を聞くと安心です。働き方が楽になったあとも、数字を使った提案や原価計算の知識を伸ばして、社外でも通用する経験を積み重ねてください。
